NHKブックス

 心を生みだす脳のシステム 「私」というミステリー

2001年12月22日発売。1070円。

http://www.nhk-book.co.jp/cgi-bin/store/detail_book.asp?webcode=00019312001

単行本 - 277 p (2001/12/01)

日本放送出版協会 ; ISBN: 414001931X ; サイズ(cm): 19

前書き

<氈п@脳内現象としての「私」

第一章 脳の中に鏡があった ーシステム論の衝撃

ニューロンの仕組み 「私」という存在のパラドックスーケンブリッジの体験から  脳の機能局在の傾向 視覚野の機能 意識を生み出す脳というシステム ミラーニュ ーロンの発見 なぜ、衝撃的だったのか 脳科学のシステム論的転回 情報処理の 「ハブ」としてのミラーニューロン

第二章 「私」とはクオリアの塊である。ー感覚的クオリアと志向的クオリア

クオリアとは何か 科学的世界観に開いた穴 「私」という視点の問題 ホムンクル スと無限後退 感覚的クオリアと志向的クオリア 二つのクオリアの違い 世界認識 の構造 二つのクオリアを支える脳内機構 ブラインドサイト 善光寺の戒壇巡り  志向的クオリアと志向性の関係 「表象」の二つの意味 「私」の核心は抽象的であ る

第三章 言葉の意味が立ち上がるとき ー志向性と言語

マガーク効果とフラッシュ効果 異なる感覚のモダリティを統合する志向的プロセス  言葉の意味と志向的クオリア 言葉の意味はいかにして成立するか ジョン・レノ ンの顔が認識されるまで 言葉の超越性 志向性の連携が失われる時 ミラーニュー ロンと言語活動の関係

<> 世界を把握する方法

第四章 身体感覚のダイナミズム ーボディ・イメージの仕組み

見るためには「道徳」が必要? 空間認識を支える志向性のネットワーク 逆さまの 世界 両眼視野闘争 ボディ・シェーマとボディ・イメージ 道具に延長するボディ ・シェーマ 幻肢(phantom limb) 歴史上初めての「手術」 アクティヴ・タッチ  自己と外界の境界

第五章 アフォーダンスとは何か? ー脳と環境の相互作用

「石を投げないでください」 アフォーダンスの考え方 意図せざるアフォーダンス  視覚の二つの経路 行為の可能性を表すニューロン 環境的知性 衝突までの時間  ボディ・シェーマとアフォーダンスの関係 環境認識と身体性

<。>「私」という視点が生まれるとき

第六章 鏡の中の「私」ー自己意識の謎を追う

私の心と他人の心 鏡のテスト ゴリラは自己意識を持つか 鏡のテストは何をテス トしているのか 鏡を見る時、心の中では何が起きる野か 心の理論 チンパンジー は人の心を読みとれるか チンパンジーの自己意識を否定する根拠 自己意識と他人 の心

第七章 なぜ、他人の心が読みとれるのか ー共感する能力・表象化する能力

「東京物語」を見る 「誤信念課題」の実験 「誤信念課題」と自閉症 「心の理 論」と表象化の能力 驚異のサヴァン能力 「写真課題」が要求する能力 「心の理 論」と共感する能力 自閉症を引き起こす脳内メカニズム なぜ、サヴァン能力が生 じるのか 「心の理論」前夜 自分と他人の心を結ぶミラーニューロン 他人の心を 「テコ」にして発達する自分の心 脳のシステムのバランスが生む「心の理論」

<IV>主観と客観はどう統合されるのか

第八章「私」の背後に隠されたもの ー感情と情動

身近な人はエイリアン? カプグラ妄想 相貌失認 カプグラ妄想を引き起こす脳障 害 「情動」の持つ普遍的な意義 「赤」を見た時に貼り付けられる感情 オノマト ペ 世界中が輝いて見える理由 情動による情報処理 前頭連合野における情動情報 の処理 客観的に見た情動の役割 アリの迷路学習 感情における主観と客観

第九章 脳の中の時間、心の中の時間 ーリアリティが生じる理由

ペンフィールドの驚異的な実験 リアリティを支える神経機構 マッハの原理 意識 の中の時間 未来を予知する脳? 絶対的な心理的時間 物理的時間の流れが、心理 的瞬間につぶれる 表象の取捨選択 感覚的同時性と志向的同時性 リアリティを生 み出す脳というシステムと心理的時間

終章 新たなるシステム論へ向けて

心に対する感覚の進化 脳科学のパラダイム変化 心のハードプロブレム 「錬心 術」を超えて

参考文献

あとがき